勝田のサヨナラ打 栗林のマダックス 打たんでも勝てるを示した3日間 カープ開幕3連勝に宿った底力

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栗林良吏マダックス

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本塁打が0本でこんなにも胸が熱うなることがあるじゃろうか?

開幕3連戦を見終えた夜に残ったのはドカンと飛び出す白球の残像じゃなく
1点をもぎ取る執念と1点を守り切る投手の気迫じゃった。

3月27日から29日までのマツダスタジアム。相手は中日。
開幕からいきなり、6-5、2-1、1-0と3試合続けて1点差ゲームじゃけえ、そりゃ気持ちも休まらん。
しかも3連戦を通してカープにも中日にも本塁打は1本も出んかった。

勝ったのに、どこか胸の奥がざわついた人は少なくないはずなんよ。打球が上がっても伸び切らん。フェンス前で失速するたびまたかと天を見たくなる。
開幕の喜びの中に、いまのNPB全体に漂う「飛ばん空気」まで混じっとった。

たしかに気になる材料はある。2019年に1688本あったNPB全体の本塁打は、2023年に1250本まで減り、2024年にはついに975本まで落ちたという流れがある。

反発係数だけでは見えん、縫い目の高さや製造精度の粗さが飛距離に影響しとる、そんな指摘まで出とる。
0.1ミリ縫い目が高いだけで2〜3メートル変わると言われたら、そりゃファンの心も穏やかじゃおれん。
だけどこの3連戦の答えをそれだけで片づけたらマウンドで火花を散らした投手たちに失礼じゃろう。

床田とハーンが積み上げた しびれる序盤の答え

初戦の3月27日、床田は6回2失点。相手の柳も6回1失点でいきなり開幕らしい張り詰めた空気を作った。
試合は延長10回までもつれ、最後はカープが6-5でサヨナラ勝ち。点は6点入ったのに、本塁打は0本。

ここがまず象徴的じゃった。ガツンと一発で決めるんじゃなく、ひとつ先の塁へ、もうひと押しで、じわじわ得点を積み上げていく。
派手さはない。ないけれど赤いスタンドのざわめきはむしろ濃かった。

2戦目の3月28日はさらに息が詰まった。島内が8回1失点、相手の櫻井は7回1失点。試合時間は2時間57分。
テンポよく進む投手戦は見とる側の体感では妙に長いんよ。
1球ごとに肩へ力が入るけえ終わるころには首までこわばっとる。

でもね、この2-1の勝利にもカープがいま持っとる形がよう出とった。
長打で押し流せん日でも点差を離されず投手が試合を壊さん。
守りがリズムを作り打線がその細い糸を手繰り寄せる。
開幕早々そんな野球を2日続けて見せられたら、そりゃ期待もふくらむ。

3月下旬のマツダスタジアムは極端に冷え切っとったわけじゃない。
27日の最高気温は19.7℃、28日は20.7℃。数字だけ見れば打球がまるで飛ばん理由を全部そこへ押し込むのは無理がある。
この3連戦でいちばん強かったのは、やっぱり投手の意地と意地がぶつかった音じゃった。
スッと入る直球、ぐいっと曲がる変化球、パシッと決まるミットの音。
その連続が、打者から思い切りを1枚ずつはがしていくようじゃった。

栗林良吏のマダックスが変えた 本塁打0本への見え方

そして3戦目3月29日。この3連戦の意味をがらりと変えたのが、栗林のプロ初先発じゃった。
結果は9回1安打無失点の完封勝利。準完全試合&マダックス。これだけでも十分にすごい。いや、十分どころじゃない。
開幕カードの締めくくりで、守護神のイメージが強い投手が先発のマウンドに立ち、1人、また1人と打者を静かにのみ込んでいく。
あの光景は、数字以上に異様な迫力があった。

相手の高橋宏斗も8回を投げて自責0。それでも1-0で勝つのが野球の残酷さであり、おもしろさでもある。点がようけ入らんから退屈かと言われたら、まるで逆じゃ。
1点しか動かん試合はその1点に全部の感情が集まる。
9回、最後のアウトが近づくほど空気は重たくなってテレビ越しでも球場のざわめきが肌へまとわりつくように伝わってきた。
わしは、スカパーの前でじっと座っとるだけなのに、足先までこわばってしもうた。
わしが投げるわけでもないのにようこんなに肩へ力が入るもんじゃと思うたほどじゃ。

最後のひとつを取り切った瞬間、胸の中で何かが切り替わった。本塁打が0本だったという事実が急に「足りんもの」ではなく「それでも勝ち切ったもの」に見え始めたんよ。
きっと栗林は、1点ありゃ十分じゃと腹をくくっとったはずだ。いや、そう見えた。
バックもベンチも、1球ごとにその覚悟へ寄り添っとった。
派手な花火は上がらんでも試合そのものが火柱みたいに熱かった。

中日の井上監督が試合後に「3つとも五分のゲーム。先発は柳、櫻井、高橋宏斗、みんな申し分ない仕事をしてくれた」と振り返ったのも、むしろこの3連戦の本質をよう言い当てとる。
そう、3つとも五分じゃった。その五分をカープは3つとも取り切った。ここがでかい~ほんとうにでかい。

ふう、とそこでようやく息が抜ける。3連戦を通して見えたのは、ホームランが出ん理由が1つじゃないということでもある。
最大の理由は、まず投手のパフォーマンスじゃろう。床田、ターノック、栗林がそろって試合を作り、中日も柳、櫻井、高橋宏斗が高いレベルで応じた。
3試合とも1点差になったのは偶然というより、両軍が相手へ楽をさせんかった結果に近い。

そのうえで、背景として統一球の話が消えるわけでもない。縫い目の高さ、飛距離の落ち、リーグ全体の本塁打減少。そういう不安材料はたしかにある。ただ、同じ時期の他カードでは計11本の本塁打が出て、そのうちソフトバンクと日本ハムの1試合だけで6本飛んどる。

じゃけえ、ボールだけが悪者でもない。気温も3月下旬としてはむしろ穏やかじゃった。結局このカードでは投手戦の濃さと、接戦ゆえに打者が無理に大振りへ寄らんかったことその全部が重なったんじゃろう。

1975年の初優勝を見たわしは、カープの強さがいつも豪快な本塁打だけでできとったとは思うとらん。
もちろん、一発で空気を変える4番の存在は恋しいし、長いシーズンを勝ち抜くには長打力が要る。そこはごまかせん。

だけど、打てん日でも勝てる土台があるかどうかは、春先のこういう試合でよう分かる。この3連戦は、まさにそこを見せつけた。1点の重みを知っとるチームは、夏場の大混戦でもしぶとい。しぶとさは、数字以上に頼もしい財産なんよ。

新井監督のカープがこの先も毎試合きれいに勝てるわけじゃない。

そりゃ苦しい夜もある。打球があとひと伸びせず、ため息がスタンドを横切る日もあるじゃろう。

それでも、開幕3連戦で見えたものは暗さじゃなく輪郭のはっきりした希望じゃった。
本塁打0本という少し不気味な数字の裏で投げて守って食らいつく野球がちゃんと息をしとったけえじゃ。

派手さがなくても勝ち切る野球はじわりと心へ残る。
そんなカープとまた公式シーズンが終わる10月まで
喜んだりぼやいたりしながら歩いていけると思うと
それだけでええ春が来た気がするんよ。

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