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カープ 1 – 2 巨人
マツダスタジアムの照明がぼんやり滲んで見えたのはたぶん気のせいじゃない。
あと3つ、たった3つのアウトが取れんかった。
1-0。それだけの点差を9回のたった2球でひっくり返された。
4月8日カープ対巨人2回戦。少し寂しいが2万1860人が詰めかけたマツダのスタンドに信じられんような沈黙が降りた。
きのうの試合で中崎が7年ぶりのセーブを挙げてベンチもスタンドも少しだけ「ここに任せられる」という空気が生まれとった。
それがわずか24時間でこんなかたちになるとは・・・
森翔平と田中将大 7回の投げ合いが生んだ均衡と歓喜
この日の主役は、間違いなく森翔平じゃった。
今季初先発。当初は4月2日のヤクルト戦に投げる予定が、前日の雨天中止で1週間ずれ込んだ。
待たされた分だけマウンドでの森は気持ちが入っとった。7回を投げて被安打6、無四球、無失点。毎回のようにランナーを出しながら要所で粘りに粘った。
2回、1アウトから増田陸と松本に連打を浴びて一、三塁。ここで浦田の二塁ライナーに一走の松本が帰塁できず併殺。4回にもダルベックに中前打を許すが、岸田を遊ゴロ併殺に仕留める。森は試合後、「何個助けてもらったか分からない」と仲間への感謝を口にした。
そして7回、守備陣がさらに森を助ける。先頭の岸田が放った左翼への大飛球を、ファビアンがフェンス際でジャンピングキャッチ。
直後には松本の二遊間を抜けそうなゴロに菊池がスライディングで追いつき体勢を崩しながらも一塁へ送球してアウトにした。
わしはテレビの前で思わず声が出たわ。
相手の先発は日米通算201勝の田中将大。37歳のベテランも7回79球、被安打わずか3の好投でスコアボードにゼロが並び続ける息詰まる展開じゃった。
森は「少年時代からテレビで見ていた。光栄というか幸せだなと思ってマウンドに上がった」と振り返っている。
その均衡を破ったのは7回裏。先頭の佐々木泰が田中将から左前に二塁打を放つ。
続くファビアンの三塁ゴロを、巨人のダルベックが逆シングルで捕りにいって後逸。
2塁走者の佐々木が一気に生還して、ついにカープが1点を先制した。
マツダがこの日いちばん沸いた瞬間。7回まで必死に腕を振った森の背中を打線と守備がようやく押してやれた場面じゃった。
2球で消えた勝利 9回に何が起きたのか
8回は2番手のハーンが走者を出しながらも無失点で切り抜け、1-0のまま9回を迎えた。
マウンドには中崎。前夜3点差の9回を締めて7年ぶりのセーブを記録した33歳の右腕にスタンドは静かな信頼を寄せとった。
初球。フォークが浮いた。キャベッジのバットが一閃し打球は左翼フェンスに直撃する二塁打。
嫌な予感が、背筋をなぞる。
次打者は泉口。また初球。内角の真っすぐが甘く入った。右翼ポール際に飛んでいく白い球をスタンドの鯉党はただ見上げることしかできんかった。
2-1。逆転。登板からわずか2球。
中崎は「投げミス。チームに申し訳ないことをしたなと思います」とうなだれた。
きのうの歓喜から一夜から天国と地獄をそのまま味わうような残酷な展開じゃった。
9回裏のカープの反撃も実らず試合終了。
勝利投手は巨人の赤星、セーブはマルティネス。中崎に敗戦投手がついた。
新井監督は試合後、中崎を責めなかった。「ザキも毎回毎回ゼロでというのは無理なので。今日もタイトな打順だったけど、こういう日もあるのでまた切り替えて準備して欲しいと思います」。そして打線にも目を向け、「次の1点を何とか入れていかないとブルペンに負担がかかる」と語った。
この言葉は重い。確かにこの日のカープは4安打1得点。田中将大の術中にはまったとはいえ7回のあの1点しか取れんかったのもまた事実じゃ。
1点差の試合を最後の最後で落とすのは、投手だけの責任じゃない。
これで今季の5敗のうち3度が、9回の逆転負け。2日のヤクルト戦では森浦が4日の阪神戦でも森浦がリードを守れず敗戦に直結しとる。
抑えを固定せず状況に応じて起用する方針の中で、9回の失敗がこうも続くとチーム全体に重さがのしかかる。
5勝5敗の五分。セ・リーグ4位。連勝は2で止まり、昨年8月から続いとったマツダでの巨人戦5連勝も途切れた。
けど、下を向いてばかりもおれん。この夜、森翔平は確かにエースの顔をしとった。田中将大という大きな壁に正面からぶつかり7回ゼロを刻んだ左腕の存在はローテーションの柱としてこれから先、間違いなくカープの力になる。
佐々木泰はヒットで先制点のきっかけを作りながらも「チャンスでいい打撃ができていない」と悔しさを隠さなかった。その悔しさが次の試合で1本のタイムリーに変わってくれたらきょうの敗戦にも意味が出る。
夜風に吹かれながらマツダスタジアムを出ていく人たちの背中を想像する。
悔しいけどまだ4月じゃ。まだぜんぜんこれからよ。


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