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巨人 4x – 2 カープ(延長12回サヨナラ負け)
福井の夜空に消えていったあのボールが、まだ目の裏に焼きついとる。
5月13日セーレン・ドリームスタジアム。1万7018人が詰めかけた地方球場でカープは2試合連続のサヨナラ負けを喫した。
延長12回、勝ち越した直後の裏。坂本勇人に逆転サヨナラ3ラン。
しかもそれが通算300号というメモリアルアーチじゃけえやられた側としてはたまったもんじゃない。おめでとう。
借金は今季ワーストの9。過去にこの数字からリーグ優勝したチームはないと、数字だけ見りゃ絶望的なことを書かれとる。
前日の岐阜でも佐々木にサヨナラ2ランを食らっとるんよ。2日続けてサヨナラホームランで試合を持っていかれるなんて、ほんまにどうかしとるわ。
ただ、きょうはそのことだけを書くつもりはない。
福井の空に響いた意地 大盛の同点弾と玉村の凱旋
先発の玉村は福井県越前町の出身でプロ7年目にして初めての地元登板じゃった。
ビジターの試合じゃというのにマウンドに上がった瞬間にスタンドからわっと歓声が湧いた。
その空気のなかで6回5安打1失点。5回にキャベッジのソロ1本は許したけど丁寧にゲームをつくり続けた。
「温かく迎えてくれた。すごくうれしいし、また頑張りたい」と試合後の玉村。
新井監督も「ナイスピッチングだったね。いいピッチングだったと思います。また次も期待しています」と目を細めた。勝ちをつけてやれんかったのがほんまに悔しい。
7回まで巨人先発の則本に封じ込められとった打線にようやく風穴を開けたのは大盛じゃった。
8回この回からマウンドに上がった大勢の真っすぐを振り抜いた打球が、福井のライトスタンドに突き刺さる2号同点ソロ。
一塁ベースを回って力強く右拳を握ったあの姿はスコア以上のものをチームに与えたはずよ。
そっからは我慢比べじゃった。9回、中崎が先頭に四球を出しながらも後続を断って、史上10人目の通算100ホールド100セーブを達成した。
前日はまさにその場面でサヨナラ弾を浴びとっただけに平然と抑えた33歳のベテランの背中は頼もしかった。
天国と地獄の12回 あの一瞬を忘れてやるもんか
延長10回裏、1死満塁。ここが試合のもうひとつの分岐点じゃった。ダルベックの鋭い遊ゴロを前進守備の小園が捌いて本塁送球。
リクエストでセーフに覆ったものの、髙が代打の坂本を147キロの直球で空振り三振に仕留めた。あのボールには魂がこもっとった。
失点したら即敗戦の場面で若い左腕が力で押し切った。
12回表、2アウト一、三塁。小園がショートへの内野安打を放ってついに勝ち越しで2-1。
4時間を超える死闘にようやく光が差した瞬間、福井のカープファンの歓声がじわっと球場を包んだ。
その裏のマウンドには11回から続投の遠藤。今季ここまで8試合連続無失点の男じゃった。
1死から連打を浴びて一、二塁。打席には途中出場の坂本勇人。初球、甘く入ったカットボール。
レフトスタンド最前列に飛び込む、逆転サヨナラ3ラン。
全部が一瞬じゃった。勝ち越しの喜びも勝てるかもしれんという期待も、4時間以上かけて積み上げてきたすべてがあの一振りで消えた。
遠藤は試合後、「意気に感じて投げましたし、ゼロで抑えることだけを考えて投げていた。ああいう形になったのは、悔しいの一言です」とうつむいた。
新井監督は「あそこは遠藤に任せたから」とだけ言った。責めんかった。
2017年、カープがリーグ3連覇の2年目で最強打線をひっさげて優勝した年にも横浜で3試合連続サヨナラ負けを食らっとる。
あのときもマジックが消えた消えたと大騒ぎになったが結局は優勝した。
今とは状況は違う、チーム力も違う、そんなことはわかっとる。
あの年もそうじゃったようにサヨナラ負けの数がそのままシーズンの結末を決めるわけじゃない。
新井監督は言うた。「リードした展開で終盤にいくと、強力な投手陣がいるのでね。大盛がよく打って追いついたと思うし、勝ち越した場面も、その前のサヨナラを防いだプレーもそうだけど、一つひとつのプレーを見たら、随所にいいプレーがたくさんあったと思います」
負けた試合の中に光を探す指揮官の言葉は、きれいごとじゃのうて実感じゃろう。わしもそう思う。
15日からは甲子園で阪神との3連戦。移動日を挟んで選手もファンも頭を切り替える時間がある。
借金9という数字は重い。データ上、優勝したチームはないと言われとる。
ほいじゃが、わしはまだ終わっとらんと思うとる。大盛のあの拳、小園のあの飛びつき、髙のあの直球。あの試合のなかにあった火種は本物じゃ。
そう簡単に消えてたまるか。悔しゅうてたまらん夜のぶんだけ次の一勝が沁みるんよ。


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