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DeNA 4x – 3 カープ(延長12回)
横浜の夜空に消えていった白球を、ただ見上げることしかできんかった。
令和8年8月8日、横浜スタジアム。4時間47分という長い長い試合の末にカープが手にしたのは、今季8度目のサヨナラ負けという見飽きた現実じゃった。
両リーグ単独最多。この称号だけはいらん。
延長12回、アドゥワが投じた一球を筒香が左翼ポール際に運んだ瞬間3万人の横浜スタジアムが揺れた。
低い弾道のまま切れずにスタンドへ吸い込まれていく打球を、カープナインはただ見送るしかなかった。
わしはもう、こういう負け方に慣れてしまいそうな自分がいちばん怖い。
筒香のサヨナラ弾は7年ぶり通算5本目じゃそうで、まあ記録のつく一発を打たれるあたりがいまのカープらしいとも言える。
今季5度目の4連敗。借金は17まで膨らんで最下位の景色がどんどん深くなっていく。
21年最下位なしの記録もカープは途絶えさせてしまうんだろうか…
満塁で帰れん男たちと13個の忘れ物
この試合の本質は、スコアではなく残塁数に刻まれとる。
カープの残塁13。DeNAの残塁11。
数字だけ見れば似たようなもんに見えるかもしれんが、中身がまるで違う。
DeNAの11残塁には、11回2死満塁で牧を三振に仕留められた場面も含まれとる。
つまり相手はピンチを背負っても要所で凌いで、最後はソロ一発で試合を決めた。
カープの13残塁には、のたうち回るような拙攻の記憶がべったり張りついとる。
5回表、1死満塁。篠木の牽制悪送球と四球で転がり込んできた絶好機に、菊池がセカンドフライ、ファビアンがセンターフライ。
相手が自滅しかけとるのに、自分たちの力でこじ開けることができん。
6回は確かに2点取った。じゃが振り返ってみると坂倉四球、モンテロ四球、佐々木四球、野間の押し出し四球。
同点の2点はすべて四球と犠飛で生まれたもんで、この回のカープのヒットはゼロじゃ。
ゼロ安打で2得点というのは相手の自滅を拾っただけのことで、打線が仕事をしたとは到底言えん。
しかもなお2死満塁の場面で、菊池が伊勢の前に見逃し三振。
追加点を取っておけば、この試合の結末はまるで変わっとったはずじゃ。
菊池は6打数ノーヒット、3三振。
ファビアンも6打数ノーヒット。
クリーンアップの前後を打つ二人が計12打数0安打では、坂倉が3安打2四球と孤軍奮闘しても報われん。
10回にも2死一二塁のチャンスがあったが持丸が一ゴロ。
12回は坂倉の中前安打から犠打で送って小園が敬意四球で一二塁、ここでも佐々木とファビアンが連続三振。
チャンスの場面で、打線が凍りついたように止まる。
チーム得点圏打率は.202で、セ・リーグの底を這い続けとる。
ランナーが得点圏にいるときほど打てなくなるというのは、技術だけの問題ではないんじゃろう。
重圧に対する脆さがチーム全体に染みついてしもうとるように見える。
坂倉の一振りと 高の一球に見えた明暗
それでもこの試合には、胸を打つ場面がちゃんとあった。
7回、中川虎の149キロを坂倉が左中間へ叩き込んだ11号ソロ。7月18日の阪神戦以来の一発で、バットを振り切った瞬間の確信に満ちた打球は、久しぶりにスカッとする一打じゃった。
4打数3安打。坂倉だけがこの試合でまともに戦えとった。
7回裏、遠藤が2死三塁のピンチで筒香を空振り三振に斬ったときの雄たけびにも、チームの執念が宿っとった。あの瞬間はまだ勝てると信じられた。
けど8回、流れが変わった。12試合連続無失点と抜群の安定感を誇っとった高が、エンカーナシオンにフルカウントから外角高めの150キロを右中間へ持っていかれた。同点弾。
新井監督は試合後、 「ずっとゼロで帰ってきてくれているから。そういう日もある」 と高を責めなんだ。
それは指揮官として正しい言葉じゃと思う。高はようやっとる。
問題はその後の攻撃陣じゃ。
同点に追いつかれてからの4イニング、カープの打線はほとんど何もできんかった。
9回は三者凡退。10回も11回もチャンスを作りかけては自分で潰す。
延長戦で相手を引き離す力が、いまのカープにはない。
11回2死満塁で牧を三振に仕留めたアドゥワは、続く12回も任された。
新井監督は 「それは決めていた」 と言う。
その信頼に応えたかったはずのアドゥワが、先頭の筒香に投じたチェンジアップを左翼席に運ばれた。
「打たれているので実力不足です。任されたところで役割が果たせなくて申し訳ないです」 と絞り出した言葉が痛い。
11回の牧三振は見事じゃったのに、あの火消しの代償を12回で払わされるのがいまのカープの残酷なところじゃ。
DeNAは8人の投手を注ぎ込みながら最後は馬場が2イニングを1安打無失点で締めて勝ちを拾った。
カープも8人つないだが、あちらの継投は勝利へ向かう設計図があって、こちらのそれはただ凌ぐだけじゃった。
同じ総力戦でも、その質がまるで違うことにやりきれんさが募る。
借金17。最下位。今季8度目のサヨナラ負け。どの数字を見ても目を背けたくなる。
けど坂倉の3安打は本物じゃし、遠藤が筒香を三振に斬ったあの叫びも本物じゃった。
高の12試合連続無失点も、たった一本のソロで消えるようなもんじゃない。
こういう夜の翌日に、それでもユニフォームを着て出ていく選手たちを、わしは信じたい。
満塁で帰れんかった13人の残像は確かに重い。重いけど、あしたもカープは試合がある。
重い足を引きずってでも、前を向くしかないんよ。


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