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中日 2 – 5 カープ
バンテリンドームのマウンドに栗林が立っとる姿は何とも言えん感慨があった。
5月22日、右足内転筋を痛めてこの球場のマウンドを途中で降りた男がもう一度ここで先発する。
それだけでもう栗林のストーリー。
3回、石川に左中間へ打たれた。2ランホームラン。初回から2死満塁を背負い、2回も得点圏に走者を置いてようやくしのいだ直後の一発。
イヤな空気が漂う。前日は逆転負けを食らっとるし、このまま連敗したら昨季の9月急降下が頭をよぎる。
4回の攻防がすべてを変えた大盛の執念
ところが4回、カープ打線が金丸を飲み込んだ。モンテロと坂倉が出塁して、ノーアウト1・2塁。佐々木がレフト線へ引っ張ってタイムリーツーベース、まず1点を返す。
そこから持丸がきっちり四球を選んでノーアウト満塁。
ここで一気にひっくり返したい場面じゃったが、勝田が空振り三振、栗林も空振り三振で2アウト。
敵地バンテリンドームはちょっとざわついて、中日の前進守備がカープ打線を締め上げにかかっとった。
打席には大盛。この日、2打席連続でフライアウトに打ち取られとった。
カウント1-2と追い込まれて、バットを短く握り直した。5球目の金丸のスライダーをバットの先に当てた打球は力なく飛んだが、ショート村松が伸ばしたグラブのわずか上を越えてセンター前にポトリと落ちた。逆転の2点タイムリー。
「前回は僕が守備で足を引っ張ったので、今回は僕のバットで良吏を助けてあげたいという気持ちで打席に入りました」
大盛の言葉には、ええ意味での必死さがにじんどった。
新井監督も 「すごい大きかった。最後、難しいスライダーだったと思うんだけど、食らいついて、いいタイムリーヒットだった」 とたたえた。
あの打球がもう数センチ低ければただのショートライナー。けどそのわずかな差を生んだのはバットを短く持ち替えた判断と、なんとしても食らいつくんじゃという執念だったと思う。
栗林10奪三振の力投と辰見が呼んだ追加点
逆転してもろうた栗林は、4回以降まるで別人じゃった。
許した安打はわずか1本。7回、ノーアウトから石伊にヒットを打たれたが、ここから3者連続三振。見逃し、空振り、空振りと続けて相手を黙らせた。最終的に7回2失点、118球、10奪三振。
先発転向後初の2桁奪三振で、7月18日以来47日ぶりの6勝目をもぎ取った。
「チームが勝てたことがうれしい」
栗林のこのひと言に、全部詰まっとるじゃろう。
7回の追加点の起点になったのは辰見じゃった。1アウトからモンテロがライト前に運び、代走で辰見が出る。
警戒される中で二盗を決めて、これが代走でのシーズン25盗塁目。1979年の近鉄・藤瀬が持つプロ野球記録に並んだ。
新井監督は 「スピードはもちろんだけどスタートを切る勇気を持っているし、準備であったり、プロフェッショナルだと思います」 と目を細めた。
その走塁が坂倉のレフト線タイムリーツーベースを呼び、さらに佐々木の犠牲フライで5-2。この7回の2点が試合を完全に決めた。
8回はセットアッパー髙が1イニングをきっちり抑えて、9回のマウンドに森浦が上がった。
先頭の岡林にセンター前へ運ばれたときは、ちょっとだけ胃がキュッとなったけどそこからが凄かった。
石伊を空振り三振、代打の阿部を空振り三振、さらに代打のサノーも空振り三振。3者連続三振でゲームセット。21球で3つのアウトを全部空振り三振で奪い取るった。
さすがイマキュレートピッチングを記録したことがある森浦だけあるわ。
セリーグ5位のカープは3位DeNAと4ゲーム。まだCS圏内は遠いようで、手が届かん距離でもない。
残り26試合、栗林がああやってマウンドで踏ん張って、大盛が必死に食らいついて、辰見が足で揺さぶって、森浦が最後を締める。
きのうのバンテリンドームには、強いカープの野球を感じた。
9月はなりふり構わず突っ走れ!


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