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巨人 5x – 3 カープ
右中間スタンドに打球が吸い込まれた瞬間、長良川球場の空気が全部向こう側に持っていかれた。
3-3の9回裏ノーアウト一塁から佐々木に叩き込まれたサヨナラ2ラン。
中崎がマウンドでうつむく姿をわしはただ黙って見つめるしかなかった。
きのうヤクルト戦を4-0で完封してようやく連敗を2で止めたばかりじゃった。これできょう勝てば今季4度目の連勝。
たった2つ続けて勝つことがこんなに遠いチームになってしまったんかと思うと、情けないやら悔しいやらいろんなもんが込み上げてくる。
12勝20敗2分で借金は再び8。今季ワーストタイに並ぶ数字が5月の半ばにしてのしかかる。
昇格速スタメン・田村の一打と坂倉のひと振り 勝てる流れはあった
中部学院大時代を過ごした長良川球場に先発のマウンドで帰ってきた床田は2回に大城のソロを浴びて先制を許した。
それでも崩れんかったのがエースの意地じゃろう。最少失点で踏ん張り、味方の援護を待った。
4回その援護がようやく届く。1アウト満塁で打席に立ったのが、この日1軍に昇格したばかりの田村。難しいコースの球に食らいついてライト前に弾き返し同点に追いつく。
さらに床田の内野ゴロの間に三塁走者が生還して勝ち越し。試合後の新井監督も「難しいボールだったけど、食らいついて、いいヒットだった」と田村の一打を振り返っとった。
4回裏に増田陸のタイムリーで2-2の同点に追いつかれたけど、5回に坂倉が戸郷からフルカウントで仕留めたライトへの6号ソロ。
これで直近12試合5本塁打と絶好調の4番が、チームに再びリードをもたらした。3-2。勝てる試合じゃった。ほんとうに、勝てる試合じゃったんよ。
7回の決断と9回の5球 すべてが崩れた夜
分岐点は7回裏じゃった。3-2と1点リードのまま床田が続投。2アウトまでこぎつけたが、二塁にランナーを背負い打席には平山。この日すでに2安打を許しとった相手じゃ。
新井監督がベンチを出てマウンドへ向かった。床田に代えて左腕の高を送る。
しかし高が投じた8球のうち平山が捉えた一打はレフト前へ抜けていく同点タイムリー。
床田の6回2/3、104球の粘投が水泡に帰した。
試合後、新井監督は「あそこは6回で代えておくべきだった。自分のミスだと思います」と言い切った。
あの平山に対してそれまでの打席でタイミングが合っていたことを認めた上での言葉じゃけえ余計に重い。
指揮官が自分の判断を「ミス」と言わざるを得んほどきょうの1点は大きかった。
8回はハーンが三者凡退に抑えて、なんとか同点のまま9回へ。守護神の中崎がマウンドに上がった。増田陸にいきなりライト前ヒットを許す。ノーアウト一塁。代走に門脇が送られ、打席には佐々木。わずか5球。右中間へ放り込まれたサヨナラ2ランは、長良川の夜空に弧を描いて消えていった。
中崎の防御率は4.09に跳ね上がった。守護神がたった2人の打者に対して試合を終わらせてしまう残酷さ。新井監督は「そこはもう、しょうがないので、切り替えてあした頑張ってもらいたい」と中崎をかばったが、あの言葉の裏にどれだけの感情が渦巻いとったか。
田村が体ごとぶつけるようにして打った同点打も、坂倉が夜空に描いた6号のアーチも全部まとめて「空砲」になってしまった。
1軍に上がったばかりの若い選手が必死に食らいついた一打が報われんのはほんまにつらい。
開幕3連勝の記憶がもう遠い昔のことのようであれ以降2連勝すらままならんカープがおる。勝った翌日にまた負ける。手のひらから砂がこぼれるように、勝ちが積み上がっていかん。
首位の阪神とは10ゲーム差。数字だけ見りゃあ目を背けたくなるわ。
それでも、きょうの坂倉のスイングには確かな力があった。田村の必死のバッティングにも光があった。
床田は馴染みの岐阜のマウンドで意地を見せた。負けたけど暗闇の中に灯りがないわけじゃない。
あしたの長良川でこの悔しさを返せばええ。
連勝がそんなに遠いもんなら、あしたの1勝から始めるだけじゃ。


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