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斗山 11 – 0 カープ
最後の最後で、これか。
フェニックス・リーグの最終戦、10月28日の天福球場で、カープはスコアボードにゼロを9つ並べられた。
秋の宮崎は、若い選手にとって答え合わせの場所なんだよな。1軍の舞台が遠い者も、あと一歩の者も、ここで何を持ち帰るかで冬の過ごし方が決まる。
相手は韓国の斗山ベアーズ。6日前の対戦では打ち勝っているだけに、気持ちよく締めてほしいと、どこかで甘く考えていた。
午前11時のプレーボール。
南国の空の下、オレンジ色の帽子がちらほら見えるスタンドで、ファンは静かに最後の1試合を見守っていた。
立ち上がりの2点が 重たい石になった
先発は杉田。
7月に支配下をつかみ、この秋は先発に本格的に挑戦している右腕だ。
10月9日のDeNA戦では5回無失点。あの日の姿がもう一度見られるなら、と期待した。
でもね、初回からいきなり崩れた。先頭のチョン・ヒョンジェにセンター前へ運ばれ、続くオ・ミョンジンには四球、そこへバッテリーミスまで重なってノーアウト2、3塁。
カン・テワンにレフトへ犠牲フライを上げられて1点。
キム・ドンジュンにはライトへきれいに弾き返された。
ヒット、四球、ミス、犠飛、タイムリー。負けパターンを絵に描いたような10分間に、ため息しか出なかった。
打線はというと、こちらもなかなか火がつかない。斗山の先発キム・ドンジュの球にバットが押され、ポン、ポンと力のない打球が外野へ上がっていく。
2回、渡邉と持丸の連打でノーアウト1、2塁。よし来たと身を乗り出したら、最後は西川がセカンドゴロ併殺打。
3回は内田のレフト線二塁打と久保のライト前ヒットで、1アウト1、3塁まで持っていった。ところが佐藤啓介のファーストゴロで三本間に挟まれ、いつ終わるのかと思うほど長いランダウンの末にアウト。
4回も渡邉のヒットのあと、持丸がショートゴロ併殺打。チャンスの芽は出るのに、片っ端から摘まれていく。
5回にはカン・テワンにまたタイムリーを許して0対3。6回は先頭から3連打を浴び、フェンス直撃で満塁にされたあと犠牲フライも上がった。
杉田は6回10安打5失点。腕は振れていたと思う、だけど打者の手元で球が伸びてこない。
ストレートを磨いてきた秋の、いちばん大事な腕試し。相手の打者にとっては、きっと待ちやすい球に見えていたはずだ。
2アウト満塁 見逃し三振で止まった時計
0対5で迎えた7回裏。ここがこの試合の、たったひとつの分かれ道だった。
マウンドにはチェ・ジュヒョン、斗山の2番手が上がった。先頭の持丸が背中に死球を受け、辰見がライト前へしぶとく運ぶ。
ノーアウト1、2塁。ここで1本出れば、まだ試合になる。
ところが西川が空振り三振。続く内田も、バットが出ないまま見逃し三振に倒れた。
それでも安竹が粘って四球を選び、2アウト満塁。ベンチの声が一段大きくなったのが、中継の音越しにも伝わってきた。
打席には久保。
このリーグで4安打の日もあった1番打者、いちばん頼りにしたい男だ。
頼む、振ってくれ。
カウントが深くなるにつれて、手のひらがじっとり汗ばんでいく。
最後の1球に、バットは動かなかった。見逃し三振。
ぷつん、と何かが切れる音がした気がした。満塁で3つのアウトをすべて三振で取られる、それがどれほど重いことか。
選んだ見逃しだったのか、手が出なかったのか、画面越しにはわからない。ただ、悔しそうに天を仰ぐ背中は、本人がいちばんわかっている顔に見えた。
厳しいことを書く。
この日の打線は10三振、併殺打は3つ。
ヒットは8本出ているんですよ。つながらない、走者を返す1本が出ない、という課題がそのまま凝縮されたゲームだった。
特に3番の二俣は3打席連続三振。打撃で期待されてきた立場を考えると、この秋の数字には本人も満足していないだろう。
内田もフェニックスでは快音がほとんど聞かれなかった。右の大砲になれる素材だと信じているからこそ、この結果は見ていてつらい。
崩れていく9回と 静かなバスの音
8回、2番手の小船がアクシデントで降板し、急きょ菊地が上がった。
代打に二塁打を打たれ、犠牲フライでまた1点。
そして9回。杉原がつかまった。
先頭のパク・ソンジェにセンターフェンス直撃の三塁打を浴びると、そこからは止まらない。犠牲フライ、ヒット、タイムリー三塁打、タイムリー。
最後はオ・ミョンジンにセンターの頭を越えられ、2点タイムリー二塁打。この回だけで5点、スコアは0対11まで開いた。
9回裏、代打の小林がセンター前へ1本返した。せめてもの意地だったと思いたい。
最後は内田が見逃し三振。ふう、と長い息を吐いて、テレビの前でしばらく動けなかった。
試合後、選手たちは球場の前からバスに乗り込み、広島への帰路についたそうだ。窓の外を流れる宮崎の景色は、きっといつもより長く感じたんじゃないだろうか。
このリーグを7勝9敗1分の10位で終えた。秋季教育リーグの勝ち負けにこだわりすぎるのは野暮だと、わかってはいる。
それでも0対11は、ただの1敗として片づけていい数字じゃない。真っすぐの強さ、追い込まれてからの粘り、満塁での1本。
足りないものを、斗山がひとつ残らず並べて見せてくれた。そう受け止めるしかないだろう。
明るい材料がなかったわけでもない。渡邉はこの日も2安打で、リーグを通して打率3割5分台を残した。
無駄な力みが抜けた、いまの構えには説得力がある。こういう選手が1人でも出てくるから、秋の宮崎から目が離せないんだよな。
杉田も、二俣も、内田も、久保も。この日の悔しさを、冬の室内練習場で何千回とバットや腕を振る理由にしてほしい。
来年の春、マツダスタジアムの芝の上でこの0対11を笑い話にできたら。
それこそが、この苦い秋のいちばんの使い道なんだと思う。


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