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ヤクルト 4 – 7 カープ
4点差をひっくり返す試合などシーズンに何度もあるわけじゃない。
しかも10月、消化試合と言われてもおかしくないこの時期に、神宮のレフトスタンドがお祭り騒ぎになるとは思わなかった。
直近10試合で8勝2敗。
新井監督の続投が決まってから、このチームは何かが変わった。空気なのか、覚悟なのか、うまく言葉にはできないけれど、9月の終わりごろからカープの試合が見ていて楽しい。
きのうの相手はヤクルト、神宮での今季最終戦。先発は栗林。4位確定のかかった一戦。
崩れた栗林 それでも折れなかった打線
序盤はしんどかった。栗林の立ち上がりは悪くなかったのに、3回裏田中のヒットから伊藤のバントで1アウト3塁を作られ、代打・増田にセンター犠牲フライ。
あのコースを上手く運ばれた。先制点を渡す展開。
4回裏が痛かった。並木にレフトへの二塁打を打たれ、西村がレフト前に運んで、ノーアウト1、3塁。山田をショートライナーで仕留め、古賀のショートゴロで並木が本塁憤死、ここで切れるかと思った矢先だった。
2アウト1、2塁から松下に一発。レフトスタンドへ飛び込む痛恨の3ランホームランで0-4。泣きたい。
でも、この日のカープ打線はちょっと違った。
佐々木が2回にいきなりライト前ヒットを放っていて、なんというか振れている感じがあった。
5回、先頭の佐々木がレフトフェンス直撃の二塁打。なんでホームランにならないの。
ファビアンもヒットで続いて、ノーアウト1、2塁。末包のピッチャーゴロで走者が進み、1アウト2、3塁。石原のショートゴロの間に1点。
さらに西舘の暴投で2-4。まだ2点差だけど息を吹き返した感覚が確かにあった。
6回、7回はどちらも淡白に終わる。簡単に流れを手放す今シーズンのカープ再び。ヤクルトも投手をつないできて、カープ打線は高橋の前に沈黙した。
7回、佐々木がまたライト前に打って、ファビアンが四球で続いたのに末包がセカンドフライ、代打モンテロも空振り三振。もどかしい。あと一本が出ない。
8回の佐々木 9回の林 あの神宮が揺れた
8回表。ヤクルトのマウンドには清水。代打・野間が三振に倒れ、1アウト。正直、ここで沈むパターンもよぎった。
ところが中村奨成がストレートの四球を選び、勝田に代わって出ていた辰見への死球で1、2塁。菊池のセンターフライで2アウト、走者は1、3塁に変わった。
ヤクルトは左腕の石原にスイッチ。坂倉が四球を選んで、2アウト満塁。ここでマウンドに上がったのが廣澤。佐々木が打席に入る。この日すでに3安打猛打賞。
カウント2-2からの直球を、佐々木はライトへ弾き返した。走者2人が還って4-4の同点。打った瞬間、佐々木が小さくガッツポーズをしていた。4打数4安打。
23歳の背番号10が、こんなふうにチームを引っ張ってくれるのは頼もしい限り。
ただ後続のファビアンが見逃し三振で、勝ち越しはならず。
8回裏、大瀬良がマウンドに上がる。澤井に四球、並木にヒットを許して1アウト1、2塁のピンチ。
西村を空振り三振、丸山をセカンドライナーに打ち取った。大瀬良はさすがの胆力。
そして9回表。ヤクルトは抑えのウォルターズを投入してきた。末包が三振に倒れて1アウト。ここからだった。持丸が8球粘って四球をもぎ取る。二俣も四球。中村奨成がライト前に弾き返して、1アウト満塁。
代打、林晃汰。
6月11日以来、115日ぶりの1軍打席。今季ここまで11打数ノーヒット。ファームでは首位打者を獲ったのに、1軍ではまだ1本も出ていない。そんな男がこの場面で呼ばれた。
ウォルターズのツーシームに、林はバットを合わせた。高いバウンドの打球がファーストのグラブをかすめて右前に抜けていく。2人が還って6-4の勝ち越し。
一塁上で林が両拳を突き上げた瞬間、三塁側ベンチからナインが飛び出した。神宮レフトスタンドのカープファンが沸いた。
「内容は良くなかったですがしっかり当てて、なんとか転がしていこう」と林は振り返った。
14打席目でようやく出た今季初安打。それが決勝打になるなんて、野球の神様はときどきこういうストーリーを書く。
そのあと林はプロ初盗塁まで決めてみせた。
「これが一番うれしかった。ずっと走る気満々でいたので」
暴投の間に林が三塁から生還して7-4のダメ押し。
森浦が締めて 3連勝の夜
9回裏、マウンドにはリーグ最多タイ62試合目の森浦。レフトフライ、空振り三振、見逃し三振。三者凡退で試合終了。
ヤクルト 4-7 カープ。3連勝で4位が確定した。
新井監督は「少しずつではあるが、チームに粘り強さが出てきていることを感じている。これをしっかり来年に繋げていきたい」と語った。
林の一打については「気持ちで食らいついて打ってくれた。良いヒットだった」と語った。
4位確定。正直、胸を張れる順位じゃない。61勝76敗。苦しいシーズンだったことは間違いない。
それでも、10月に入ってからのこの3連勝には、数字以上のものが詰まっている気がする。
佐々木の4安打には来季の主砲の匂いがした。林の今季初ヒットには、ファームで歯を食いしばり続けた115日分の重さがあった。
中村奨成の四球と9回のヒットには、打順の1番に置かれた男の意地があった。
残り2試合。順位はもう動かない。
でもこのチームはいま、自らの力で勝ちにいっている。
明日からは甲子園で阪神2連戦。森浦と栗林は登録抹消された。それでも勝ちにいく。
カープは工藤泰己が2度目の先発。プロ初勝利を掴み取ってほしい。
阪神先発の大竹には、もう敵ではないということを思い知らせてやってくれ!
がんばれ新生カープ


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