10/20ハンファ戦 止まらない8打席連続安打 渡邉悠斗の寝かせたバットが宮崎の秋に火をつけた

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渡邉悠斗

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ハンファ 5 – 5 カープ

力強い打球がセンターへ抜けるたびカープのベンチから拍手が起きた。

8打席連続安打

前の日の西武戦から一度も凡退しないまま、渡邉悠斗がこの日も4本のヒットを積み上げた。

10月20日、宮崎の天福球場で行われたフェニックスリーグ。相手は韓国のハンファで順位を争うような試合じゃない。

でも秋の宮崎は、来年のカープの種をまく場所でしょう。プロ2年目の今季、渡邉は自身初の開幕1軍をつかんだのに出場は4試合だけで終わった。

悔しくないはずがない。

この秋に取り組んでいるのは、右方向へ強く打つ意識と構えのマイナーチェンジだ。

以前は立てていたバットを背中側に寝かせて、トップから無駄なくスッと振り抜く形に変えたらしい。

前日の西武戦は4打数4安打。フォームを変えたばかりの選手が、それで浮かれないかと心配するのはファンの悪いクセ。

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先に4点 それでも5番のバットは黙らない

試合はこの日も先制される展開だった。

先発の竹下は3回に捕まった。マスクをかぶる小林とのサイン交換がかみ合わずどうにも間合いが悪い。

高めに浮いた球をカーンと打ち返され、あっという間に4失点。

だけど、渡邉のほうはもう火がついていた。2回の第1打席できれいなセンター前ヒット。

前日から数えて5打席連続安打。この時点ではまだ、誰もそこまで気にしていなかったと思う。

0対4で迎えた3回裏、二俣と辰見のヒットで得点圏にランナーが出る。4番の仲田がレフト前へ運んで、まず1点。

そして2アウト1、2塁。

渡邉の打球はレフト線へ一直線に飛んでいった。白いラインの際をボールが跳ねて、ランナーが1人、また1人とホームへ向かう。

タイムリー2ベースで2対4。この打席は引っぱった打球でも力まずに振れていたように見えた。

ところが4回に1点を足されて、また3点差。追いついたと思ったら離されるこの感じ。

もどかしいけど、こういう展開だからこそ5番に打席が回ってくるのが楽しみになる。

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ベンチの拍手が聞こえた 8本目のセンター前

5回、2アウト2塁。

ここで打席に入る渡邉を見て、ベンチの空気が少し変わった。打つたびに期待の声がだんだん大きくなっていった、と球団のレポートにも書かれていた。

カウントのやり取りのあと高めに入ってきた甘い球。それを逆らわずにセンターへはじき返した。

打球がピッチャーの足元を抜けていく。2塁ランナーがホームを踏んで3対5、まだ2点差だ。

これで7打席連続安打。

さすがにここまで来ると、こっちも打席が回るのを指折り数えはじめる。6回にカープは1点を返して4対5、いよいよ背中が見えてきた。

そして7回、1アウト。

マウンドからの変化球が、わずかに甘く入った。渡邉のバットが背中側からスッと出てくる。

カツンという乾いた音がして、打球はまっすぐセンターへ抜けていった。

ベンチから自然と拍手が起きた。仲間の記録にナインがそろって手を叩く瞬間は、何度見てもいいもの。

「狙い通りで、強く振り抜けた。安打になって良かった」

会心の当たりだったんだろう。狙っていた球を狙いどおりのスイングで仕留める感触は、本人にしか分からない気持ちよさがあるはずだ。

この回にカープは追いつき、5対5。先に4点を取られた試合を、とうとう振り出しに戻した。

ベースの上で、渡邉はきっと少し笑うのをこらえていた。

「今までの野球人生で、こんなに続けてヒットを打った記憶がない」

試合後には照れ笑いでそう話したという。プロに入るほどの打者でも記憶にないんだから、まあ相当なことだ。

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連続安打は8で止まって 試合は引き分けに

終盤はリリーフ陣がしっかり試合をつないだ。

7回の高橋は9球で片づけた。フォークを低めに集めて三振を2つ、テンポがよくて見ていて気持ちいい。

8回はアリア、9回は黒原が、それぞれ0点に抑えた。黒原はこの秋、登板を重ねるたびに球が強くなってきているらしい。

渡邉の最後の打席は三振で、連続安打は8で止まった。正直、ちょっとホッとしたようなもったいないような。

試合は5対5のまま、9回で引き分け。勝てなかったのに、ふうっと息を吐いたあとには不思議と満足感が残った。

8番の西川も5打数3安打でプロ入り初の猛打賞。ここまで苦しんでいるだけに、これは素直にうれしい。

「下手くそなので、練習するしかないです」

この言いっぷりがいい。若い選手がこういう顔で秋を過ごしてくれると、こっちも春が待ち遠しくなる。

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まずは打率 その先に長打がある

渡邉の持ち味は、もともとパワーなんだよね。

それでも本人が口にするのは、派手な一発の話じゃなかった。

「まずは打率を残すこと。打率が残っていけば、自然と長打も出てくると思う」

地に足がついた言葉だ。前日の4安打についても「ラッキーなヒットもあった」と言いながら、「しっかり強く振れた部分もあった」と手ごたえを口にしていた。

試合が終わったあと、渡邉は黙々と打撃マシンに向かってバットを振っていたという。8打席連続安打の日でもまだ振るのか。

いや、だからこそ振るんだろうな。

フェニックスリーグは残り6試合。寝かせたバットの角度が宮崎で体にしみ込んでいく。

来年の春、マツダスタジアムでこの構えをもう一度見られたら…

きょうのセンター前へ打った乾いた打球音を、その日まで大事に取っておこうと思う。

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