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ヤクルト 5 – 3 カープ
延長12回、2アウトからの一発でぜんぶ持っていかれた。
3点のリードを握っていたはずの試合が、気づけば借金15への負け試合でしかなかった。
4時間30分、25,622人の視線を集めた長い長いゲームは、打率2割1分の内山のバットが振り抜かれた瞬間に終わった。
テレビの前で拳を握っとった者も、球場でタオルを握りしめとった者も、たぶん同じ顔をしとったと思う。
「引き分けにもできんのか… 」
しかし、序盤の入りは悪うなかった。むしろ久々に胸のすくような立ち上がりじゃった。
3回表、アドゥワの遊撃内野安打をきっかけに1アウト二三塁のチャンスをつくると、ファビアンがレフト犠飛で先制。
続く坂倉がセンターへ突き刺すタイムリー三塁打で2点目を奪う。5回にも1アウト一三塁から坂倉がライト前に運びリードは3点まで広がった。
先発アドゥワは5回7安打1失点。
長岡に2号ソロを浴びた直後、なおも1アウト一二塁のピンチをサンタナ、増田の連続三振でしのいだ姿には、ようやく戻ってきた男の意地がにじんどった。
717日ぶりの白星、その権利をつかんだままマウンドを降りたときにはベンチもファンも 「きょうこそ」 と信じたはずじゃ。
前倒しの継投がほころびを見せた原因では?
ところが、そこから風向きが変わってしもうた。
7回、3番手として登板したのはセットアッパーのハーン。
新井監督は 「あそこはトップから厳しい打順で振れている打者だったので、ハーンを」 と、ヤクルト打線の1番長岡からの並びを警戒しての前倒し起用だった。
指揮官の狙いは分かる。分かるんじゃが、本来8回を任されるハーンを1イニング早う引っ張り出す判断は諸刃の剣じゃ。
ハーンは2アウト二塁からサンタナに二塁への内野安打を許して1点差。
防御率1.53(対ヤクルト1.50)を誇る神セットアッパーの男らしくない失点は、この日の歯車の狂いを暗に告げとった気がする。
8回は遠藤が古賀にレフトスタンドへ運ばれ同点。1点差から一気に振り出しじゃ。
指揮官は遠藤について 「点を取られることもあるから、継続して頑張ってもらいたい」 と背中を押した。
継投の順番が一枚ずつずれていったせいで、勝ちパターンのカードが軒並み前へ倒れてしもうた印象は拭えん。
あと1死のところで崩れた12回のマウンド
延長12回。
森浦、辻、鈴木と踏ん張って迎えた12回裏、マウンドに送られたのは高卒2年目19歳の菊地ハルン。
ブルペンには益田も黒原もまだ残っとった。それでも指揮官はこの若い右腕にボールを託した。
菊地は簡単に2アウトを奪う。あと1つ、あと1アウトで引き分け。神宮のスコアボードの数字はまだ3-3のままじゃった。
しかし、武岡に四球。続く内山は打率2割そこそこの打者じゃ。
冷静に一球一球で仕留めればいいはずの場面で、カウント1-0からの一球がイン寄りの真ん中に浮いた。バットが一閃、白球はレフトスタンドへ。ゲームセット。
神宮のお立ち台には勝利投手の廣澤、そして5号2ランを叩き込んだ内山。カープベンチはただぼう然と立ち尽くすしかなかった。
菊地は 「失投だった」 と唇をかんだ。
新井監督は 「成長につなげてもらいたい」 とだけ言うた。
19歳の背中に「敗戦投手」の3文字はあまりに重い。
ベンチにベテランを残したままの起用に、モヤモヤした気持ちを抱えたカープファンはわしだけじゃないはずじゃ。
名原の3安打が救いじゃった
それでも、この夜すべてが真っ黒に沈んどったわけじゃない。
1番に入った名原が今季3度目の猛打賞。
「絶不調」 の文字を跳ね返すように、3回無死一塁からの左前打を皮切りに、鋭い打球を3本並べた。
復調の気配は本物じゃ。ようがんばった。
この男の打棒が戻ってきたことは、暗い夜の中でひとつたしかに光っとった。
坂倉も三塁打を含む勝負強い打撃で2打点。ファビアンの犠飛も含めて、打線の顔ぶれは決して悪くない。
取れた3点は、落ち目のヤクルト相手に勝つには十分すぎる点数だったはずなんじゃけどのう。
借金は15。最下位中日との差はついに1ゲーム。順位表を見上げるたび胸のあたりがずんと重うなる。しかしうつむいとるだけじゃ何も変わらん。
きのう勝てた試合を落とした傷は深い。名原のバットが火を噴き、坂倉の一打がまた突き刺さり、そしてハーンが本来の8回のマウンドで無双すると信じたい。
19歳の菊地ハルンには、この一発を糧にする時間がまだたっぷりある。
ほんとうに悔しいときほど上を向け!
きょうの先発は栗林良吏。
栗林で勝てんかったら、もうカープは終わりよ。
絶対に勝つでぇ!


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